カワダアユの国

主にファッションやジェンダーについて。

私の顔と髪の話、また脱コルについて

 こないだ受けたアイドルユニットの新メンバー募集のオーディションに落ちました。人生で何度かオーディションは受けたことあるけど、受かったことは一度もありません。オーディションじゃなくても、受かりたいなと思ったアパレルショップのアルバイトとか、ギャラリーのスタッフとか、そういうのは大体落ちてきました。最近までやってた就活なんて本当にひどくて、100社くらい受けて全滅しました。そこまでいくと笑えるね。

 オーディションにしても就活にしても、自分のことは何の保証もないのになにもかもさらけ出さなくちゃいけなくて、相手のことはわかってることしか教えて貰えなくて、でも落とされるときは何のフィードバックもなく、「これからのご活躍をお祈りいたします」で終わる。だからその度に、自分の何がダメなんだろう、ここだろうか、あそこだろうかなどと、どんどんマイナスな考えにのめり込んでいきますよね。特にオーディションのときは、やはり顔とスタイルがあまりにも醜いからだろうか、とどうしても私は考えてしまいます。

 私は昔から自分の顔が本当に嫌いです。おでこがへこんでいて、左右が歪んでいて、眉毛が山のようで、目は一重で細く、鼻は低く、唇は無駄に厚くて、歯は出っ張っており、顎はほとんど未発達。お世辞にも可愛いとも美人とも言えないと思ってきたし、母親やバイトの同僚や通りすがりの見知らぬ人から容姿を貶されたときも、腹を立てると同時に、納得してしまう自分がいました。そうして、ルッキズムを内面化してきました。今でもその呪縛は解けておらず、私の見た目がもっとよければなりたいものになれただろうにといった考えは、頭の隅っこにひっそりとあります。

 ノンバイナリーと自覚したとき、やっぱり短髪にした方がいいのかなと思いました。ノンバイナリーと名乗るには、私の服装も髪型もあまりにも装飾的でフェミニンすぎるだろうと。でも短髪にしてしまうと、私の醜い顔がよく見えるようになってしまうことに気がついてしまったから、怖くてできませんでした。私は自分の長い髪の檻のなかで、守られて生きていきたい。もちろん、今の私は、どんな見た目だってノンバイナリーであることを知っているので、そんな自分を認めてあげられています。

 最後に少し話は変わりますが、私は以前から脱コルセット運動に疑問があります。脱コルセット運動は、女性が短髪にし、脱毛せず、ノーメイクで、非装飾的なアイテムを身に付けることによって、既存のフェミニンから脱し、社会におけるジェンダー観を撹乱しようとする運動であると理解していますが、この運動にはさまざまな問題が含まれていると思います。そのなかでも、私が特に問題だと思うのは、脱コルセット実践者によって、それ以外の女性のファッションを非難する動きが見られることです。どんな人であれ、他人のファッションをジャッジする立場にはありません。また、ロリータのように過剰に装飾を盛ることで、既存のフェミニンから脱している例だってあります。ロリータ以外にも、装飾を用いることによって、ジェンダーを撹乱してきた実践者はたくさんいるのです。そういった存在に、もっと敬意を持ってほしい。そう願ってやみません。